私小説的小説【新理ツクと後輩ちゃん】第1回 【But I still like it.】

〜前書き〜

この作品は私新理ツクに起こった事や考えた事を元に描かれた小説です。実在する人物や団体などとは関係がなく、例えば私の家に可愛い後輩の同居人はいません。

 

〜以下本文〜

 

1月31日、新理ツクの部屋にて……
「ぎゃあああああああああああああ!!! バースデーライブを見るのを忘れたぁぁぁぁぁ!!」

 私の名前は新理ツク、ゲームが大好きなどこにでもいる鶏人間だ。そして私は今とあるスマホゲームのバーチャルライブを見るのを忘れていたことに気づいていた。

「なんすか、うるっさいすね、今深夜っすよ」

 そして大声を上げる私を咎めるのは同居人であり私の後輩の姫松レイだ、彼女は黒髪をかきながら私の前に座る。

「深夜……深夜か……すまんかった、性懲りも無く騒いでしまったな……」
「いや別に私も別に寝てたわけじゃなかったからいいんすけど……それよりバースデーライブっすか、新理先輩ってアイドルとかの追っかけってやってましたっけ?」
「やってないよ、私が見忘れたのはほれ、これだ」

 私は彼女にスマホの画面を見せる、そこに映っていたのはナウなヤングに大人気なスマホゲーム【プロセカ】だった。

「ああ、プロセカっすか、流石に知ってるっす、可愛いっすよね初音ミク、ってことはあれすか、様は初音ミクのライブを見逃したってことすか」
「厳密に言えば巡音ルカのバースデーライブだが……まぁいい、様はそういうこと……うぐぅ……」
「先輩そんなことであんな騒いでたんすか?」

 そんなこと……彼女のその発言に私の鳥目が燃え上がる。

「そんなこととはなんだ! これは重要なことだぞう!! なんてったってライブを見ることによって滅多に手に入らないボーカルカードが手に入るんだ!!! それが!!!! そんな!!!!! ああああああああわーっ!!!!!!」
「そんな感嘆符増やしまくって騒がなくていいですから、てか流石に近所迷惑っす、黙るっす!!」
「ぎゃ!! ぎゃ!!」

 私は彼女に往復ビンタをされた、痛い!!

「どうすか、落ち着いたっすか?」
「ああ、落ち着いたからやめっ……へべっ!!」

 それからしばらくビンタを喰らっていたがやがてそれも落ち着いた、どうやら私の後輩殿はようやくビンタするのをやめてくれたらしい。

「しかし解せないっすね」
「はぁはぁ……何が?」
「先輩がスマホゲームで期間限定のアイテム逃してキレてるのって今回が初めてじゃないっすよね?」
「まぁ……そうだな……」
「それなのになんでいまだに続けるのか……もう全部やめた方が楽になれるだろうに……って思うんすが?」
「……まぁ、そうだな」

 実際、彼女が言ってようなことは考えたことが無いわけではない、スマホゲームをやめれば期間限定の要素に苦しむ事もなくなるし他のことに時間を費やす事もできる、それでも私がスマホゲームをプレイするのは……

「それでも、好きだから……だな」

 それを聞いた彼女を目を丸くし、やがてケラケラと笑い出した。

「アハハハハハッ!! なんすか!! そんなカッコつけちゃって!! そんなカッコつけるようなもんでもないでしょ!!」
「っるさいな!! そこまで笑わんでもいいだろう!?」
「いやだって……アハハハハハッ!!」
「グッ……グヌーッ!!」
「イヤーッハッハッハ……ハッハッハ!!」
「もういい!! 戻れ!! 自分の部屋に戻れっ!! ったく!!」

 笑い声が木霊するなか夜が更けてふく、しかし私はこの時間が存外嫌いではないのであった。

〜次回へ続く〜